東京都の南部に位置する八王子市。都心からは約40kmと少々離れた距離にありますが、市内の約半分を森林地帯が占めている、自然色豊かな街として知られています。
自然の多さもさることながら人口は都内の市町村中で最大規模。東京23区を含めてもトップ10に入る人口率を誇ります。ここでは八王子市の特徴と、子育て環境について詳しくまとめました。
八王子市は、市内とその周辺には20ヶ所以上の大学や短期大学が揃っており、いわゆる学園都市として知られています。
六大学の一つに数えられる中央大学や、専門性の高い東京薬科大学、多摩美術大学などが揃っているのも魅力的で、保育園から小中学校、高等学校なども市内の各地に充実しています。
お子さんがいる家庭に対しての教育環境も充実しています。都内有数の待機児童の少なさ(2016年度で139人)を誇ります。
一時保育・休日保育・年末保育・緊急保育・定期利用保育・ショートステイ(宿泊型一時保育)やトワイライトステイ(夜間一時保育)など各種保育制度が整っています。
認可保育園では月曜日から土曜日までが保育日ですが、日曜や祝日に行われる休日保育についても実施されています。 また、「病児・病後児保育」ができる施設も市内に2ヶ所あります(病後児保育室も1ヶ所有り)。
こちらは通常の保育所で受け入れが難しい病気療養中の子どもや、病後の回復期にあたる子どもを保育する場所で、保育施設や医療機関などと連携している場所を指します。
民間会社が運営している保育園でも病児保育を実施しているところがありますが、八王子市には信頼のできる病児・病後児保育所が合計で3ヶ所揃っているということで、民間の保育園に預け入れるのが不安な方にとっては安心ですね。
基本的には住所地により入学する学校が指定されています。しかし、保護者やお子さんの希望により指定校以外の学校を選ぶことのできる学校選択制を実施しています。
さまざまな学科で特色を持つ大学が八王子市内に13校もあります。短大や高専まで含むとのべ21校です。お子様の得意な専門分野を伸ばしてくれる大学がきっと見つかるはずです。
八王子市には多くの大学のキャンパスがあり「東京都内随一の学園都市」と呼ばれています。大学の区分や登録学科は以下の通りです。
大学名 | 区分 | 登録学科 |
---|---|---|
工学院大学 八王子キャンパス |
私立 | 先進工学部・工学部・建築学部・情報学部 |
首都大学東京 南大沢キャンパス |
公立 | 人文社会学部・法学部・経済経営学部・理学部・都市環境学部・システムデザイン学部・健康福祉学部 |
創価大学 | 私立 | 経済学部・経営学部・法学部・文学部・教育学部・理工学部・看護学部・国際教養学部 |
拓殖大学八王子国際キャンパス | 私立 | 商学部・政経学部・外国語学部・国際学部・工学部 |
多摩美術大学 八王子キャンパス | 私立 | 美術学部 |
中央大学 多摩キャンパス | 私立 | 法学部・経済学部・商学部・理工学部・文学部・総合政策学部・国際経営学部・国際情報学部 |
帝京大学 八王子キャンパス | 私立 | 医学部・薬学部・経済学部・法学部・文学部・外国語学部・教育学部・理工学部・医療技術学部 |
東京工科大学 八王子キャンパス | 私立 | 工学部・デザイン学部・医療保険学部・メディア学部・コンピュータサイエンス学部・応用生物学部 |
東京純心大学 | 私立 | 現代文化学部・看護学部 |
東京造形大学 | 私立 | 造形学部 |
東京薬科大学 | 私立 | 薬学部・生命科学部 |
日本文化大学 | 私立 | 法学部 |
ヤマザキ動物看護大学南大沢キャンパス | 私立 | 動物看護学部 |
※参考元:ナレッジステーションHP(https://www.gakkou.net/daigaku/chiiki/src/?ct=132012)
子育てには地域環境も大切ですが、子育て費用が捻出しやすい自治体支援も大切です。妊娠、出産にも検診や分娩時の費用が必要です。その後も、医療費、学費など、とにかく子育てには想像以上に多くのお金がかかります。
そのため、多くの自治体では住民への子育て支援策として、様々な助成制度を設けています。八王子市でも、安心して子育てができるような助成制度や環境整備を積極的に行っています。妊娠から出産、児童手当までを紹介します。
八王子市では、妊娠、出産から子育てまで切れ目のないサポートを行っています。妊娠したら、まず妊娠届出をし、母子健康手帳の交付を受け、妊婦面談を受けます。母子健康手帳は、「親と子の保険バッグ」と一緒に渡されます。
この「親と子の保険バッグ」には、妊婦健康診査の受診票(14回分)や子宮頸がん検診案内(受診票1回分)、超音波検査の案内(受診票1回分)、助成制度の案内、妊婦講座の案内など、妊娠中に必要になる様々な案内と出産後の各種助成制度の案内が入っています。
妊娠初期に、このような手厚いサポート制度の説明が受けられることは、これからの長い子育ての不安に対する大きな助けとなることでしょう。また、妊婦面談の後に「はち☆ベビギフト」がもらえます。多摩産木材のおもちゃ、国産ガーゼのスワドル、家族と赤ちゃんに読んでほしい絵本がセットになった八王子市からのプレゼントです。
金銭的な補助ではありませんが、このような気配りも嬉しいものですね。
出産時には「出産育児一時金」として42万円が支給されます。助成金ではありませんが、出産前後に助かるハローベビーサポートについても紹介しておきましょう。このサポートは思うように身体が動かない、無理ができない産前、産後に家事支援を1時間500円で請け負ってくれるものです。
サポートは出産予定日30日前から産後180日の間に、7回利用することができます。食事の支度やお掃除等の家事手伝いだけでなく、子育て相談にも対応します。このような支援があるのも、八王子市の子育てが安心できるポイントの1つです。
さて、子育てが始まると児童手当を受けることができます。対象児童が15歳になって最初に迎える3月31日までの間、手当を受けることができます。年齢によって支給額は変わります。
児童の年齢 | 児童1人あたりの月額 所得限度額未満 |
所得限度額未満 児童1人あたりの月額 所得限度額以上 (特例給付) |
---|---|---|
3歳未満 | 15,000円 | 5,000円 |
3歳から小学校修了前 (第1子・第2子) |
10,000円 | 5,000円 |
3歳から小学校修了前 (第3子以降) |
15,000円 | 5,000円 |
中学生 | 10,000円 | 5,000円 |
また、この制度は所得制限の対象になります。所得が多い場合、特例給付という形での支給となります。制限の所得金額は夫婦いずれかの多い方の金額で、扶養人数によって以下のように変わります。
税法上の扶養人数 | 所得制限額(一律) |
---|---|
0人 | 6,300,000円 |
1人 | 6,680,000円 |
2人 | 7,060,000円 |
以下、扶養人数が1人増えるごとに、38万円加算されます。
八王子市では助成対象の子供の年齢によって切り替わる、「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」と「義務教育就学児医療費助成制度(マル子)」という医療費助成制度があります。マル乳は乳幼児(6歳になって最初に迎える3月31日まで)の子供が対象です。助成内容は医療費の保険診療分の自己負担分の助成で、実質無料で病院にかかることができます。
マル子は小・中学生を対象とした制度で、入院、調剤薬局が無料、通院は自己負担の上限が200円になる制度です。マル乳、マル子ともに入院時の食事代は助成対象外です。対象の子供のいる家庭は市に申請することで、マル乳医療証、マル子医療証を受け取ることができます。
八王子市内の病院にかかる場合は、保険証と一緒にマル乳あるいはマル子医療証を提示すればよいのですが、八王子市外の病院にかかった場合は、医療機関の領収書を添えて申請することで助成を受けることができます。
認証保育園の保育料の一部を補助する、「八王子市認証保育所保護者負担軽減補助金」を利用することができます。保護者の所得制限はありませんが、毎月1日付で保育所に在籍していることが条件になります。
金額は、児童1人につき、月1万5千円です。私立幼稚園を利用する場合は、入園料補助金という制度もあります。入園料支払額を上限として2万円が補助金額となります。また、複数の児童が認可保育所等を利用している場合、保護者の負担軽減を図るための「八王子市認証保育所多子軽減補助金」という制度もあります。詳しくは市の保育幼稚園課にお問い合わせください。
八王子市で受けることができる、子育て関係の助成金について一般的な例を紹介しました。この他にもひとり親世帯の場合、生まれた子供が未熟児だった場合など、市の支援が受けられるケースがいろいろとあります。
八王子市では平成17年より「こども育成計画」を策定し「すべての子どもたちが健やかに育つ地域づくりとともに、子育てしやすいまちナンバーワン」を掲げて子育てに関する施策の充実を行っています。
策定から10年経過し子供を取り巻く環境が変化した状況を踏まえて「みんなで育てる・みんなが育つ・はちおうじ」を基本理念とした第3次八王子市子ども育成計画「ビジョンすくすく☆はちおうじ」を策定。
子ども達のすこやかな成長を街全体で見守る姿勢を行政が中心となって取り組んでいます。核家族・共働きが増える中の子育てに大きな孤独や不安を抱えている親世代にとって自治体レベルの取り組みは心強いですね。
八王子では、都心にはない広い物件や、安くて住み心地の良い物件を求める方も少なくありません。市内には中古マンションをはじめ、再開発によって住環境が整備された地域が充実しています。
八王子市はもともと住宅地をベースとして発展してきた街で、繁華街と住宅地が切り分けられているのが特徴です。そのため、お子さんをお持ちのご家庭にとっては、ショッピングや娯楽と日常生活を切り離して生活ができるというメリットがあります。
八王子駅の北側は飲食店や商業店舗が軒を連ねており、24時間明るく華やかな雰囲気に満ちています。対して駅の南側は閑静な住宅地であり、駅や繁華街に近い場所にありながら、静かで過ごしやすい雰囲気となっています。
子育てに奔走する親御さんにとって嬉しいポイントとして、八王子駅周辺にはさまざまな商業施設が揃っています。
「セレオ」「八王子東急スクエア」「ダイエー」「ヨドバシカメラ」「京王八王子ショッピングセンター」など、大型の商業施設や商業店舗がすべて駅の周辺にあります。アクセスがしやすい位置にあるので、緊急の用事や買い物にもたいへん便利です。
お子さんの突然の体調不良に備えるための病院も充実しています。駅の周辺には歯科医院、消化器専門委員、内科や外科、総合病院などが揃っており、いずれも駅から徒歩もしくはバスやタクシーなどで楽にアクセスができる距離にあります。
自然環境としては、緑豊かな高尾山などの山々や高原、公園、河川などが揃い、八王子城跡など歴史を感じさせてくれるスポットも多く、浅川の桜並木や富士森公園など桜の名所も各地に点在しています。
八王子駅の南にも広々とした公園が広がっており、お子さんと楽しくアクティビティを楽しむのにも便利です。
八王子駅には中央線・横浜線・八高線・京王線が乗りいれており、周辺地域へのアクセスが楽なので、市外に出かける場合にもたいへんスムーズ。新宿方面にはJRと私鉄のそれぞれを使ってアクセスができるため、都心部への移動も楽にできます。
京王線の特急を利用すれば、新宿までわずか30分程度で到着できます。また八王子市内には「橋本」にリニア専用の駅ができるため、今後の発展にも期待したいところです。
八王子市は都心からは離れるものの鉄道・道路ともに非常に利便性が良い立地です。近所の小・中学校卒業後、高校・大学・就職で八王子市から他地域に通う場合も通学・通勤に便利です。
ひとりの子供にかかる養育費用は進路パターンにもよりますが2,655~4,105万円(※ベネッセ調べ)。家を一軒購入できるほどの金額がかかります。特に大学は4年前後通うことが多く、学割定期を使用しても遠方の通学では交通費がかさんでしまいます。
下宿をすればさらに費用はかかります。自宅から近い大学に進学すればその分の費用を他にまわすことができ節約にもつながります。八王子市には多くの大学がありますので選ぶ時にも将来のビジョンが定まりやすいはずです。
幼少期の手厚い子育て支援、学区以外の学校も選択できる小・中学校、遠方でも通いやすい高校、近隣の大学。そして生活の利便性が高く、自然環境が豊か。
「自然は子供の苗床」と言われるように子供の感受性や五感を刺激する自然との触れ合いは大切とされてきました。しかし実際に田舎暮らしをしてみると不便がストレスになってしまうケースも少なくありません。
小さな子供を抱えた家族は生活をするに便利な都会へ移住することが多いです。確かに都会は便利です。少し歩けばスーパーやコンビニ、病院がありますが、やはりそこにないものは自然。人工的に作られた自然風の公園では得られないものがたくさんあります。
都会のみの子育てに違和感があるのであれば「都会過ぎない田舎」「田舎過ぎない都会」である八王子市で自然とともに子供をのびのびと育てたいという人におすすめです。
0歳から22歳までの安心がぎゅっとつまった八王子市はお子様の大学進学までを考えるパパ・ママにとってとても魅力的な場所と言えるでしょう。